こちらの一方的な思いはいつもありますが、僕は基本的にはヒトと動物はコミュニケーションは取れないものと考えています。いわゆる「コミュニケーションを取っている」という言い方が出来るのは、ヒトがえさを与えた時だけであって、それはあくまでヒトの世界のコミュニケーションなのです。また、よく野生動物の観察で「今えさを食べています」という言われ方がありますが、えさというものはヒトが家畜に与えるもので、野生動物には当てはまらないと思います。野生動物の方からこちらに近づいてくるのをヒトの言葉で言うとコミュニケーションだということになるかもしれませんが、野生動物にとっては単なる安全確認に過ぎないと僕は思っています。 |
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コミュニケーションよりも、むしろ動物との距離を僕は大事にしています。撮影時には、そこに撮影者がいるということを動物は意識しています。それでも無視をしてくれているという状況が一番良い。気になるとこちらを直視しますが、それは良くない。こちらが相手に相当なストレスを与えているということですから、動物にとって迷惑ということです。野生動物にも個体差があり、撮影をいやがるのもいればあまり気にしないタイプもいる。それはその動物自身の今までの人との接触体験に左右されることが多いと思います。動物の子供に出会った時は緊張してしまいますね。僕が相手にとって最初の人間かもしれないわけですから、最初に接する人としての責任がある。どう対面したら良いのかいつも考えてしまいます。(岩合光昭) |