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2002年8月、僕はホッキョクグマが、 「雪と氷に覆われた、白銀世界に暮らす動物」 というイメージを180度覆すシーンに出会った。 みなさんもご存知の「ホッキョクグマと赤い花」(下の写真)だ。 考えてみれば、花だってワイルドライフの一部。 「E-1」で、野生動物と花が織りなす 鮮やかなコントラストを撮影したい。 きっと世界には、僕の知らない美しいシーンが、 まだまだたくさんあるんじゃないかな。
2004年9月。僕は「E-1」を手に、 花を求めて春を迎えたばかりの 南アフリカを訪れた。 最初の目的地は、「ボンテボック国立公園」。 有名な港町ケープタウンから、 やや内陸に向かって車を走らせる。 前方には乾燥した大地が続く。 「こんな場所に、ほんとうに花が咲いているのかな」 ハンドルを握りながら、僕は心配になってきた。 出発して約4時間。僕の目の前に、 ピンクや淡い白色の花をつけたヒースの群生地が広がった。
「ボンテボック国立公園」では、 絶滅が危惧されている稀少動物 ケープヤマシマウマが観察できるという。 しかし、花と野生動物をひとつの画面に入れて撮影することは、 簡単そうに見えて難しい。 花が咲き乱れるのは、 1年のうちでも限られたシーズンだけ。 しかも、野生動物は好んでは花を食べないので、 花畑の中にやってくる必然性がない。 朝霧が立ちこめる早朝から、「E-1」を手に、 国立公園内で撮影ポイントを探してまわる。
午前10時すぎ。 霧の晴れたエリカの花畑の向こうに ケープヤマシマウマがやってきた。 静かに「E-1」を構え、こっちに来てくれ、と 心の中で呼びかけた。 公園の名の由来となっている 生まれたばかりのボンテボックの子どももいる。 親とくらべて体も明るい色で可愛い。 日中、あたたかくなった花畑に、 ホウシャガメが集まってきている。 どうやら彼らは、この花が好物らしい。