

ここは、南オーストラリア州のカンガルー島。ユーカリの木を寝床に、コアラのメスが昼寝している。おいおい、落ちるなよ。そのリラックスしたポーズに、思わず吹き出しそうになりながら、カメラを向けた。鋭い爪でどんどん幹を登っていくコアラは、一日のほとんどを樹上で過ごす。コアラを見つけるために見上げていると首が痛くなる。でもコアラの顔を見るとその苦労も吹きとぶ。

ところでコアラも、カンガルーと同じ有袋類の哺乳動物。子供は超未熟な状態で生まれ、母親の育児袋の中で半年ほど過ごしてから外に出る。ふつう育児袋というと、カンガルーのように上向きの袋を思い浮かべてみるが、コアラの育児袋は実は下向き。母親が消化したユーカリの葉を、離乳食として赤ん坊のコアラは肛門から直接食べる。こうして赤ん坊のコアラは、ユーカリの味を覚えていく。オーストラリアには600種類以上のユーカリがあるけれど、コアラは自分のお気に入りのユーカリだけを主食として食べ続けていく。


実は、南オーストラリア州カンガルー島に来た一番の目的、それは、オーストラリアアシカのサーフィンを撮ることだ。以前、オーストラリアアシカがサーフィンをするように波に乗るのを見たことがあり、ぜひともその瞬間を撮影したいと思っていたのだ。しかし、そんなチャンスは滅多にあることではない。とにかく、いい波を待つしかない。南風ではダメで、北風だ。撮影に同行してくれるレインジャーはサーファーで、波の情報提供をしてくれることになっている。とはいえ、宿泊地から撮影地のシールベイ自然保護区までは15km。いい波がくればすぐに車で駆けつけられそう。

海岸で、大きな波を待つ。いい波が来るぞ、という瞬間、カメラを構える。ところがオーストラリアアシカはいても、一向に波に乗る気配がない。いつ波に乗ってくれるのやら、全くタイミングがわからない。沖に目を凝らし、ずーっと波を見続けているうちに、目がおかしくなる。幾度も幾度もカメラを向け続けたその時、夏の北風にあおられ、いい高い波が来た。沖にいたオーストラリアアシカが一瞬、姿を消したかと思った次の瞬間、見事なサーフィンを見せてくれた。撮影は大成功だった。別のオーストラリアアシカの母子が、大きな波のチューブの中を華麗に泳ぐ場面も撮影できた。