Digital Iwago Iwago's Report

岩合さんが世界各地で撮影した写真レポート。Mapの見たい場所をクリックしてね。

ネコを求めて津々浦々。僕はネコの雑誌に連載していることもあり、というか、結局はネコが好きだからだが、10年ほど前から全国各地を巡ってネコを撮り続けている。47都道府県のうち、これまですでに40地域のネコたちと出会ってきた。近頃実感しているのだが、ここ数年、ネコを撮るヒトが確実に増えているように思う。撮影をしていると、「僕もネコを撮っているんですよ」などと声をかけられることも多い。道端で腹這いになりながらカメラを構えている僕の姿はかなり怪しいと思うのだが、通りかかるヒトも、「ああ、ネコの写真を撮っているんだなあ」と、近頃は寛容に見てくれる。それどころか、ネコに出会えそうな場所を教えてくれたりもする。

 
 
 

さて、ネコを撮るといっても、肝心のネコに出会えなければ仕様がない。僕はモデルネコをどうやって見つけるか?ただひたすら、町を歩き回る?実はコツがあるのだ。僕は撮影の前に、25万分の1の地図を用意する。そして、国道から離れた場所はどこか?漁港はないか?坂道のあるところは?と地図を見ながら、ネコがいそうな場所のあたりをつける。ネコはクルマが天敵だから、国道からはずれた場所がいい。漁港では、ご馳走にありつけることもあるだろう。ネコは動きの激しいヒトには驚かされて苦手だから、ヒトがゆっくり歩く坂道はネコにとって居心地がいいらしい。そして町に行ったら、まず高いところに登る。町全体を見渡しながら、ネコが好む日当りのいい場所や、クルマの入ってこない袋小路を探す。ネコは、自分が居心地のいい場所を知っている。ネコの生活を知り、ネコが暮らす町を知る。これが、ネコと出会ういちばんのコツだ。そして、撮影は早朝から始める。ネコは朝日とともに、町なかに動き出す。ネコの撮影では、お日様より早起きすることが鉄則なのだ。

徳島県に着き、僕はまず東端の海岸線を歩いてみた。崖に沿って、切れ込んだ湾があり、崖と海の間に町並が続いている。そこで出会ったネコを撮っていたとき、そのネコの目線が何かを気にかけているような気がした。その目線の先を追いかけると、漁で使う浮きの上に子ネコがいた。僕が撮っていたネコと、浮きの上にいるネコは、どうも親子らしい。子ネコにカメラを向ける。子ネコはこちらを見てはいるが、逃げようとはしない。子ネコは母親の動きを確認する。母親が、「このヒトは大丈夫よ」と目で発信してくれれば、子ネコは母親に見守られ、安心して遊んでいることができる。

 
 

懐かしいような町並をネコのいるところを探して歩いた。あたたかな陽射しを浴びながら、ネコもゆったりと、「オレの町を案内するよ、ついてきな。」とでも言うように歩いている。路地を曲がると何ともユニークな模様のネコと出会った。「おっ、あれは岩合さんじゃないか!」というような顔で、こちらを見ている。おそらくネコは、僕がネコを見つけるよりも先に僕を見つけ、安全なヒトなのかどうかを確かめている。ネコに出会っても、いきなり駆け寄ったりはしない。そんなことをしたら、ネコを怖がらせるだけだ。まず、「やぁ!」と挨拶をする。そして、反応を見る。すぐに隠れてしまったら、それは撮られたくないという意思表示だ。ネコの中には、「え、オレをモデルにしたいって?」とでも言ってるように、興味を示してくるのもいる。当然だけど、ネコにもそれぞれ個性のようなものがあり、反応はさまざまだ。それを見極め、無理強いせずに撮るのは、カンとしか言いようがない。


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