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ベトナムでは豚もたくさん飼われているのですが、ちょっと面白い光景に出会ってしまいました。道を一目散に速足でスタスタと歩く豚がいる。飼い主らしき人に何かと尋ねると、これから種つけに行くのだという。その豚、とても張り切っていたのかなぁ、横に並んでキャメディアを向けても、すぐにフレームアウトしてしまうほどのスピード。ところが、その日、偶然また同じ豚に出会ったんです。今度はゆっくりヨタヨタとした歩み。心なしかヤツレているようにも見える。種つけが終わって帰るところだったんですね。お疲れさまでした。 |
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以前、オーストラリアの撮影記で、豚に襲われた話をしたけど、ベトナムでもまた豚がらみの事件が起きてしまったのです。キャメディアでナイスショットを撮ろうと、あるお宅で豚の撮影に夢中だった僕。カメラのファインダーだけを覗き、アングルを変えるために後ずさりした僕は、なんと裏手にあった豚の肥だめに落ちてしまったのです。そこの奥さんがあわててバケツに水を持ってきてくれたけど、ニオイはとれないし、情けない気持ち。よくよく豚にはツイていないのかなぁ。そんな珍道中もあったベトナム取材。 |
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僕が撮影に訪れたベトナムの村々は、さまざまな民族が暮らしています。いまでも、それぞれ独自の民族衣装を身に付けている人が多く、興味を引かれます。撮影取材のベース地にしていたサパという町は市が立ち、人々で賑わうのですが、あるとき黒山の人だかり。みんな同じ方向を眺め、口々に何か言い合っています。お祭りか大道芸か、と思ったら、痴話喧嘩の見物。マーケットではフレッシュなライチが売られていましたが、みずみずしい果肉が実に美味でした。 |
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朝靄の向こうに、奇妙な形をした山々がぽっこり見える。まるで、桂林のような雰囲気。この地域はちょっと幽玄な世界でもありました。田んぼに見える石の塔は、お墓。その中を水牛がゆっくり歩み、田を耕していきます。水牛を撮影するコツは、早く撮ること。水牛はカメラがこわいのか、緊張感でこわばります。このベトナムもいずれ水牛に代わって、トラクターが使われるようになるのでしょうか。僕は今回の撮影取材で、生きるたくましさをベトナムの人々に強く感じた。ベトナムの人々は、とにかくよく働く。男性も女性も大人も子供も、そして水牛も。日本が失ったものを見た気がしました。
(岩合光昭 談) |
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