撮影取材記:アメリカ 第1話・第2話・第3話

岩合さんが世界各地で撮影した動物たちの写真レポートです。国・地域別でご覧いただけます。

Iwago's Photography Reports United States of America

第1話 フロリダキーズ編 アメリカの撮影取材を開始。まずは南のフロリダキーズで、固有種キーシカに会う。

かつて幾度となく訪れたことのあるアメリカ合衆国だが、2010年、僕はcちょっと腰を据えて、アメリカ各地の自然を巡る決意をした。とはいえ、アメリカはとてつもなく広大で、とてもじゃないが回りきれない。そこで、さまざまに異なる自然の魅力にふれあいたいと、東、南、西、中央とスポットでおさえる作戦をたてた。

撮影する岩合さん オオダイサギ カッショクペリカン

まず訪れたのが、アメリカ本土の南端、フロリダだ。フロリダを訪れるのは、およそ30年ぶりだ。フロリダ半島の先端から南西に連なる、フロリダキーズと呼ばれる小さな島々。その島々を、海の上を走るハイウェイが結び、行き着く先はキーウェストだ。僕はまず、フロリダキーズのひとつ、ビッグパインキーという島で撮影取材を行った。島はマングローブで覆われ、カッショクペリカンが群がっている。鮮やかなピンク色の翼をもつベニヘラサギもいる。マングローブを食べに、小柄なシカが現われた。この周辺だけに生息する、キーシカだ。30年ぶりの再会だが、いまも逞しく生きていることがうれしかった。

キーシカ ベニヘラサギ
キーシカ
ネコ

ビッグパインキーを後に、海のハイウェイを南西へと走り、終着点キーウェストに辿り着いた。アメリカ合衆国本土の最南端地点を示すサザンモストポイントの碑が立っており、観光客が記念撮影に並んでいる。キーウェストは文豪アーネスト・ヘミングウェイが暮らした地であり、彼の家はいま博物館として公開されている。ヘミングウェイはネコ好きで知られているが、飼っていたネコの子孫だろうか、ヘミングウェイの家にはいまもネコがいっぱいいる。僕も街で、ネコの写真を撮った。

第2話 フロリダ・クリスタルリバー編 アメリカマナティーはおだやかな動物だ。ゆったりと人間に近寄ってきたりする。

キーウェストからフロリダ半島に戻り、メキシコ湾側にあるクリスタルリバーにやって来た。アメリカマナティーに会うためだ。僕が訪れたのは1月だが、マナティーは寒がりの動物で、冬になると、暖かい水が湧きだすクリスタルリバーに避寒しにやって来るのだ。ボートをチャーターし、川に出る。マナティーはすぐに見つかる。水の中から静かに浮かび上がっては、水面に鼻を出して息継ぎをする。その時、ヒューッという音が聞こえる。僕は水の中に入ってみた。温かな湧き水のあたりに、100頭ぐらいいるだろうか、たくさんのマナティーがおしくらまんじゅうでもしているかのように、大きな体を寄せ合って寝ている。

アメリカマナティー 撮影する岩合さん アメリカマナティー
アメリカマナティー アメリカマナティー

水は濁って見通しがわるく、ふと気づくとマナティーと目前で鉢合わせたりする。僕と目が合うと、マナティーはすーっと視線をそらせる。なんだかネコ的だなと、僕は思った。人間を怯えるような気配はまるでなく、ゴロンと仰向けになってお腹を見せたりもする。マナティーは愛らしかったが、クリスタルとは名ばかりの濁った水で撮影には苦労させられた。水温は15度ぐらいあったが、ボートに上がると寒さに震えた。

アメリカマナティー
アメリカマナティー アメリカマナティー

第3話 オリンピック国立公園編-1 シンボルのようにそびえるオリンポス山。オリンピック国立公園に初めてやって来た。

オリンピック国立競技場
オリンピック国立競技場 オリンピック国立競技場 オリンピック国立競技場

アメリカの北西部、シアトルから湾をはさんで西にオリンピック半島がある。アメリカ各地の撮影取材を敢行している僕は、5月の終わりから8月にかけ、オリンピック国立公園にやって来た。この公園はそもそも1900年代初め、セオドア・ルーズベルト大統領が、主に太平洋岸北西地区に固有のエルク(ワピチ)の生息地を保護するために創設した公園であり、このエルクは、自然保護に尽力した大統領の名にちなんで、ルーズベルト・エルクと呼ばれるようになったということだ。

撮影する岩合さん ワピチ
ワピチ

このオリンピック国立公園は "three parks in one park"と言われているのだが、ひとつの公園内に、さまざまに異なる自然環境が存在する。まずは、氷河の山並み。公園内を万年雪をかぶったオリンピック山脈が走り、ひときわ高いオリンポス山がシンボルのようにそびえている。そして太平洋岸沿いには100km以上にわたって、起伏に富んだ海岸線が続く。さらに、大量の雨が育んだレインフォレストが、この地独特の景観を見せる。実にダイナミックな変化に富んでいる。どんな野生動物たちに出会えるか、これからの撮影取材を考えると胸が高鳴る。

ワピチ

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