撮影取材記:インド編 第1回・第2回・第3回

岩合さんが世界各地で撮影した動物たちの写真レポートです。国・地域別でご覧いただけます。

インド編 第1話

約10年ぶりに、インドの撮影取材を敢行。

僕は昨年の2006年3月~4月と11月~12月、そして今年2007年5月~6月と、3度にわたってインドを訪れた。約10年ぶりの撮影取材だ。インドは日本の約10倍もの広さだが、北には世界最高峰のヒマラヤ山脈がそびえ、中央にはデカン高原、南はインド洋やアラビア海をのぞむなど、実に起伏に富んだ地形。
国土の5分の1は鬱蒼とした森に覆われ、沿岸にはマングローブが広がっている。気候も、さまざまだ。そんな豊かな自然に抱かれ、ここには多くの野生動物が生息している。

アフリカとは異なる大型哺乳動物に会える。

ライオンやゾウと言うと、きっとみんなアフリカを思い浮かべるんじゃないかな。実はインドも、大型哺乳動物の貴重な宝庫。アフリカとはまた異なる、稀少な哺乳動物が生息している。たとえばインドには、シマ模様が実に美しいベンガルトラがいる。またアジアの中で唯一、ライオンが生き残っている場所でもある。ほかにインドゾウがいるし、角が1本のインドサイもいる。さて次回からは、インドならではの野生動物との出会いをお届けします。お楽しみに。

インド編 第2話

ゾウに乗って、インドサイの撮影へ。

僕がまず訪れたのはインド北東部、ブラマプトラ川の岸に広がるカジランガ国立公園だ。ここは沼地や池が多く、水草を主食とするインドサイにとって、絶好の棲みかだ。夜明け、日の出とともに、インドサイを求め、使役ゾウに揺られながら湿原へと向かった。サイに小回りよく近づくために、小柄の使役ゾウを選んだ。遠くに、インドサイの親子がいる。池から出てきたサイの体から、蒸気が立ち上っているのが見てとれる。気温が低いからだ。僕は使役ゾウの背中から撮影する。サイは使役ゾウが近寄るのを気にしてはいるが、イヤがっている風でもない。

あの角が狙われたんだなあ。

インドサイは、アフリカに棲む、角が2本のシロサイやクロサイと違って、角が1本だ。だから、イッカクサイとも呼ばれている。かつて、この角をめあてに密猟が絶えなかったという。一時は760頭を数えるまでに激減したが、現在は約2,000頭に回復しているそうだ。人間の営みに、動物たちが生存を脅かされながら生きている。そんな現実が、このインドにもある。

インド編 第3話

インドゾウは、ちょっと小柄だ。

インドサイの保護区であるカジランガ国立公園には、インドゾウも生息している。アフリカゾウよりも小柄で、耳も小さく、頭に二つのコブがあるのが特徴だ。ゾウが好んで食べる草、その名もエレファントグラスの茂みの中に、インドゾウの親子がいた。子供には小さな牙があり、オスとわかる。仲間の匂いが漂ってくるのだろうか、母親も子供もそれぞれ長い鼻を持ち上げ、お揃いのポーズをとっている。

血族の動きは似るものなのかなあ。

湖では、インドゾウの親子が水につかって、水草を食べている。鼻をブルブルッとふるわせ、水草についている泥を器用に払い落としてから食べるのだが、さすがに親子、鼻のふるわせ方がそっくりだ。血族の動きは、どうも似るものらしい。昔はインドゾウもインドの地にまんべんなくいたというが、農地開発などが進むとともに、限られた地にしか生息できなくなった。昔はゾウが移動する道があったというが、いま、その道はない。かつては象牙目当ての密猟も行われ、インドゾウの生息数は大幅に減少したのだ。

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