撮影取材記:ケニア編 第1話・第2話・第3話

岩合さんが世界各地で撮影した動物たちの写真レポートです。国・地域別でご覧いただけます。

Kenya Iwago's Photography Report

Episode.1 久しぶりに、ケニアの野生動物たちに会いにいく。

アフリカといえば、僕にとって動物写真家としての原点ともいえる場所。かつて2年ほど滞在し、長期にわたって撮影に取り組んだ地だ。僕は昨年2007年9月末~10月末までの約1か月間、十数年ぶりにケニアに撮影取材に訪れた。オリンパスのデジタル一眼レフカメラ「E-3」が新しく登場したのを機に、アフリカの野生をいま一度、見つめ直してみたいと思ったからだ。予定しているのは、まずナイロビから北上して「サンブル国立保護区」へ。次はちょっと南下して、フラミンゴの大群で有名な「ナクル湖国立公園」へ。そして、ビクトリア湖とアフリカを南北に縦断する巨大渓谷との間に広がる「マサイマラ国立保護区」、そこから東へ「ツァボウエスト国立公園」、キリマンジャロを望む「アンボセリ国立公園」へ、というコースだ。

さあ、「E-3」を手に、撮影開始だ。

ナイロビ到着。さっそく「サンブル国立保護区」へと向かう。標高5,199mという雄大なケニア山を眺めながらの北上だ。「サンブル国立保護区」のあたりは、いくつもの小高い山が連なる丘陵地帯となっている。ここには、ほかの地域ではなかなか見ることのできない、アミメキリンやグレビーシマウマ、ゲレヌクといった動物が生息している。久しぶりに彼らに出会える期待でワクワクする。

Episode.2 あ、いたいた!アミメキリンだ。

9月28日、いよいよ「サンブル国立保護区」での撮影取材の開始だ。ケニア山の北に位置するこの丘陵地帯では、他ではなかなかお目にかかれない動物に出会える。そのひとつが、アミメキリン。アカシアの若木の茂みから、長い首をつきだしているアミメキリンを見つけた。あー、美しい網目模様だなあ。しばし見とれてしまう。マサイキリンとは一目で区別がつく、くっきりと鮮やかな網目模様が特徴だ。アカシアが好物なのだろうか。舌で枝を器用にまるめながら、芽を吹いたばかりのやわらかな葉をしごいて食べている。

サンブルならではの風景だなあ。

別の日、アミメキリンのオス同士が、首をぶつけあっているのを見た。ネッキングといって、オス同士のファイトのポーズだ。激しいときには、体が持ち上がってしまうほど力が入っている。キリンの背中に、アカハシウシツツキという小さな鳥が止まっている。キリンの体につく虫をついばんでいるのだろう。それにしても、こうして山の斜面、木の茂みにたたずんでいるアミメキリンを見ていると、同じアフリカでもサバンナの風景とはずいぶん印象が違う。どこかエキゾチックというか…。やわらかな光や風のそよぎに、動物たちが包みこまれてるなあ、とも感じる。

Episode.3 ここのシマウマは、シマが違う。

グレビーシマウマの群れがいる。彼らは、ここ「サンブル国立保護区」のあるケニア北部とエチオピアの一部など、限られた地域だけに生息する、絶滅危惧種となっている動物だ。よく見られるグラントシマウマより、ずっと細かくシャープなストライプだ。シマのあまりの細かさに、背中はグレーがかって反射して見える。体格も大きくてガッシリとしている。まるで徒競走でもするかのように、横一線に並んでいる数頭のオスがいた。どのシマウマも、左右の耳がレーダーのように行ったり来たり動いている。誰が先に前に進むか、お互いの力関係を牽制し合って、緊張しているように見える。

このポーズ!これがゲレヌク!

「サンブル国立保護区」の代表的な野生動物といえば、ゲレヌクもそうだ。後ろ足ですくっと立って、高い所の木の葉を食べている。思わず微笑んでしまう、ユニークなポーズだ。彼らも、他の地域ではほとんど見かけることのできない動物だ。撮影を続けていると、木の上にチーターがいるのを見つけた。獲物を探しているのだろう。彼の行動をしばらく見る。山々の風景の中でチータ-を捉えた写真は、よほどのチャンスに恵まれなければ、なかなか撮れない。

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