撮影取材記

撮影取材記:マダガスカル 第1話・第2話

岩合さんが世界各地で撮影した動物たちの写真レポートです。国・地域別でご覧いただけます。

マダガスカル

第1話 39年前に訪れ、苦い思い出のあるマダガスカル島。よし、リベンジしに行こう!

今度はどこへ撮影取材に行こうかと地球儀を回しながら考えているとき、アフリカ大陸の南東にあるマダガスカル島に惹きつけられた。バオバブの巨木を思い浮かべる方も多いと思うが、ここには原猿類であるキツネザル類に代表されるような、マダガスカルにしか生息しない固有種が数多く存在する。

岩合さんの主な撮影場所 MAP

僕は39年前、動物写真家になって数年の頃に訪れたことがあるのだが、実はイヤな思い出がある。ノジー・コンバ島という北の島で撮影していたとき、蚊に囲まれた。そのときは痒かっただけなのだが、首都のアンタナナリボに戻ったとき高熱が出た。身体がエビのように曲がり、とにかく苦しい。宿泊していたホテルに、医者が来てくれた。医者はフランス語なので何を言っているかわからないが、耳に「マラリア」という単語が入ってくる。どうやら、マラリアにかかってしまったらしい。なんてことだ。苦しい、心細い。僕は、病院に入院させてくれるようにお願いした。ところが、病院よりホテルの方がよほど清潔なので、ここに居た方がいいと言う。それからは6時間おきに高熱が出ては引っ込むということを繰り返し、一週間ほど寝たきりだった。「僕はマラリア・キャリー」なんてジョークを言ったりしているが、このときのことが深層心理に埋め込まれているのか、これまでなんとなくマダガスカルを敬遠していた。しかし今回、39年前には中途半端に終わらざるをえなかったマダガスカルの撮影取材の再チャレンジをしようという気になった。39年前とどれぐらい変わっているのか、変わっていないのか、自分の目で確かめてみたいと思ったのだ。2016年のオリンパス/WWFカレンダーの撮影取材も兼ねての撮影だが、サル年だから、原猿の棲むマダガスカルに決めた、というわけではない。

バオバブの木

マダガスカルの風景

岩合さん

(左)バオバブの木、(右上)マダガスカルの風景、(右下)岩合さん

第2話 いよいよマダガスカル島へ。果たして39年前と変わっているだろうか。

僕は2014年9月30日、成田からバンコクを経由してマダガスカル島の飛行場アンタナナリボに降り立った。現地のコーディネーターが迎えにきてくれていたのだが、時間どおりの到着に驚いていた。こんなに時間厳守での運行は珍しいと言う。機内では、ファンの方から、「岩合さん、写真撮らせて!」と声をかけられた。
アンタナナリボからは国内線に乗ってフォールドーファンに降り、そこから車で、最初の撮影地区であるベレンティ保護区へと向かった。フォールドーファンの飛行場を朝9時に出発し、ベレンティ保護区に到着したのは昼の1時。ガタガタ道に揺られての移動だった。

アンタナナリボの入口の看板

ベローシファカ

(左)アンタナナリボの入口の看板、(右)ベローシファカ

道の周囲は39年前と比べ、木がすっかり減ってしまい、サイザル麻の畑が広がっている。実は、ベレンティ保護区はサイザル麻の畑を所有しているフランス人オーナーの土地だ。木を伐採してはいるけれど、一方で、所有している土地を野生動物の保護区にするという自然保護活動に取り組んでいるというわけだ。ロッジで昼食を食べていると、ワオキツネザルがテーブルに飛び乗った。39年前は、そんな光景はなかったように思う。近年、野生動物ツアーの観光客も増え、慣れてしまったのだろうか。ワオキツネザルの毛並みが荒れているようにも見える。

ワオキツネザル

ワオキツネザル

(右/左)ワオキツネザル

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